「電池レス石油ストーブ(ぐるんPa)」開発ストーリー
石油ストーブの需要は、一時期「オール電化」の普及により減少傾向にありましたが、東日本大震災以降、 被災地以外でも計画停電などを経験した事により、今度は「電気を使わない」事に意識が高まり、見直されました。
被災地では、地震や津波の影響で電気・ガスといったライフラインが寸断される中、
灯油さえあれば暖が取れて煮炊きもできる、石油ストーブが大活躍しました。
■支援物資として送ったストーブが使えない・・・!?
2011年の東日本大震災の折に、トヨトミとしても1200台の石油ストーブと灯油を寄付致しましたが、 被災された現場では乾電池が不足し、津波による浸水でマッチも湿っており、寄付したストーブも使用 (点火)出来ない環境だったそうです。
■身近な物から偶然得たアイデア
そのような話を聞いたトヨトミ会長中村(開発当時トヨトミ社長)が、点火できる物が何もない中で、 どうすればストーブを使用できるのかと社内を巡りながら考えていた際に、 たまたま社員の持っていた防災用の手回し充電機能付きラジオからヒントを得て、 その仕組みをストーブの点火に組み込めないかと閃いた事がきっかけとなりました。
■非常事の世の中への対応力
被災地で不自由な生活を送る人々に少しでも暖かさを届けたいという思いから、さっそく最優先で 開発チームを動かした結果翌2012年には製品化を実現し、世界初となる点火に電池のいらない石油ストーブ 「ぐるんPa」が誕生しました。
■スピード感をもった商品開発
震災の翌年に「ぐるんPa」を開発・発売したのですが、その陰には様々な苦労がありました。 「今」点火できずに困っている人がいるのに、震災から何年も経過してから発売していては意味がないので、 スピード感をもって開発をすすめました。とは言っても、火を扱う製品開発で手を抜く事はできません。 通常の何倍もの人手と設備を使い、様々な問題を解決していきました。
■トヨトミにとっての商品開発とは
トヨトミでは「発明・発見に努める」「独創的であること」「多数の競争相手が存在する場合は、 反対方向を指向するもの」を製品開発の考え方としています。この考え方により、オリジナリティーを発揮し、 世界初となる様々な製品を世に送り出すように心がけております。
また、今回の「ぐるんPa」におきましては、従来の石油ストーブにはなくてはならない乾電池を、必要としない 独創性や発明はもちろん、処分の難しい廃乾電池を世に出さないという環境面でのメリットが評価され、 2012年度のグッドデザイン賞も受賞いたしました。
■社会貢献・SDGsへの取り組み
新しい事に常にチャレンジし、世の中にない「オンリーワン」商品で社会に貢献してきた開発力や製造力の 下積みがあったからこそ電池レス石油ストーブ「ぐるんPa」が誕生しました。 一方では乾電池を使わない事は廃乾電池を出さない事として、サステナブル社会「人間・社会・地球環境の 持続可能な発展」にも貢献できる製品となっています。