手作りの、世界でただひとつの結婚指輪／SINCERITIER（シンセリティア）

　「彫金(ちょうきん)」という言葉をご存じだろうか。僕は知らなかった。彫金は『金属を使って、アクセサリーや小物、建築物の装飾などを作る』技術のことだそうだ。

　岡崎ICから車で5分、岡崎市東公園の近くの閑静な住宅街にある「SINCERITIER」（以下シンセリティア）はその彫金という技術を用いて作られるジュエリーのお店である。

　手作りの結婚指輪やフルオーダーメイドのジュエリー制作などお客様の気持ちに立ったサービスを展開、上質でありながら思わず「可愛い」と呟いてしまうようなジュエリーを制作、販売している。

　お話を伺ったのは、ジュエリーデザイナーとして店舗を運営している大鹿さん。大学でデザインを学ぶ中で、運命的な出会いがあって彫金の世界へ。その後独立して立ち上げたのがこのシンセリティア。今回はお店のコンセプトや彫金の世界に飛び込んだ経緯などをお聞きしました。

お客様にとって
ベストの選択肢を
提案したい

ｰ「シンセリティア」という店名の由来を教えてください。

大鹿さん：シンセリティアっていうのは造語なんです。シンセリティって単語は「誠意」とか「誠実」とかそういう意味。最初、どんなお店を作りたいかを考えたときに、私は「絶対にうちの商品を買ってもらう！」という感じの接客をするようなお店にはしたくなかったんですね。

ｰそういう押しが強いタイプのお店ありますね。

大鹿さん：私はそういうのじゃなくて、そのお客様にとってベストの選択肢を提案したいという思いがあって。その結果、嗜好に合わなくてうちが選ばれないことはあるかもしれないけど、偽らずに誠実にお客様の気持ちに向き合いたいなと思ったんです。だから、私自身がそうありたいという決意のようなものも込めて、「シンセリティア」という名前にしました。

ｰどういった商品を取り扱っているんでしょうか？

大鹿さん：オリジナルのジュエリーとアクセサリーを販売しています。フルオーダーでご依頼いただいたものを作成したり、ここでワークショップを開催してお客様自身に作ってもらったり。それと数は少ないですが、すでに出来上がっているジュエリーも販売しています。

ｰどんなお客様が多いですか？

大鹿さん：今は自分で作っていただく方が多いですね。オリジナルジュエリーを作れるお店ってこのあたりだとほとんどないので。

「ただひとり」の相手だから
「ただひとつ」の指輪を

ｰOPENしたのはいつですか？

大鹿さん：2022年の7月です。それまでは10年くらいあまり日が当たらない場所でこそこそとやっていたんです。他の職人さんからの依頼とか友人からの直接のオーダーだけ受けて。もともと人と話すのがあんまり得意じゃないんですよ。だからそういうスタイルの方が自分には合っていたんですけど（笑）。

ｰでも現在は店舗での接客という形で人と話すお仕事をされています。何かOPENを決意したきっかけがあったんですか？

大鹿さん：そうですね。私の中に「自分で作ったものをお客様に手渡ししたい」っていう小さいころからの夢があって。その夢は実際の店舗でお客様とやりとりしてモノづくりをする中でしか叶えられないので。あとは岡崎にこういうコンセプトのお店がなかったので、勝手に使命感に駆られたっていう理由もあります。

ｰシンセリティアのジュエリーの特長はどんなところですか？

大鹿さん：もちろん色々あるんですけど、やっぱり何よりも「世界にひとつだけ」というところですね。だから結婚指輪に関しては、「あのブランドが欲しい！」と希望されている方にはうちのジュエリーは響かないかもしれません。大切なものだからただひとつの特別なものが欲しいという方におすすめですね。

ｰパートナーと一緒に手作りすることでより特別なものになる気がします。

大鹿さん：きっとその部分で共感してくれる方がシンセリティアを選んでくれているのかなと思います。せっかく「ただひとり」のお相手なので、世の中にたくさん生産されている同じ指輪じゃなく「ただひとつ」の指輪を検討してもらえたらなと思っています。

「私のやりたいこと
これじゃん」って

ｰ彫金を始めるにいたったストーリーをお聞きしたいです。

大鹿さん：ちょっと長くなりますけどいいですか（笑）？

ｰもちろんです。

大鹿さん：大学で服飾のことを学んでいたんですけど、みんな就活を始めている中で私はまだどうしたらいいんだろうって悩んでいました。自分の手で作ったものでお客さんに手渡しができる仕事、それと岡崎で自分のお店を持ちたいっていう夢を考えたときに洋服だと単価を考えると難しいなって思っていて。じゃあ私はいったい何をすればいいんだろうって。

ｰ進路に迷いがあったんですね。

大鹿さん：そんなときに学年研修っていうのがあったんです。ある町を散策して色んなお店とか工房を見てレポートを作るっていう授業だったんですけど。そこで最初に気になったお店にふらっと入ったら、それが彫金でつくるジュエリーのお店だったんですね。普通の古民家なのに、ドアを開けたら綺麗なジュエリーがたくさんあって。昔、ファッションショーを初めて見たときみたいな感動があった。「なにこれ」って思って。「私のやりたいことこれじゃん」って。

ｰそれが彫金との出会いだった。

大鹿さん：そのときに後の師匠になる方とお話しました。当時弟子を募集してるってことだったので、後日親を連れて「弟子にしてください」って言いに行って。それで大学在学中から修行を始めました。もう授業もほとんどなかったので、ほぼ毎日家から1時間半くらいかけて工房に行って。夜に作業が終わって、家に帰ってご飯食べて落ち着いたころにはもう夜中の0時ごろになってるっていう生活でした。

ｰ修行の期間はどのくらいだったんですか？

大鹿さん：3年くらいですね。他のところだと3年は見て学べっていうところも多いと思うので、だいぶ早いと思います。あるときいつも通り作業をしていたら、急に「今月いっぱいな」って言われてそれが修行の終わりでした。

ｰ修行ではどんな学びがありましたか？

大鹿さん：彫金の技術はもちろんですけど、なによりも度胸と自信がつきました。食らいついて学ぶ姿勢がないとやっていけなかったので。そこはすごく大きかったと思います。

ｰ大変だったことはありますか？

大鹿さん：修行って良くも悪くもやっぱり考え方とか生活態度とかも師事している人に染まっていくっていうのはあるんですね。だから自分らしく仕事ができるようになったのはほんとに最近ですね。でも自分らしさに向き合うことってそういう経験をしたからこそできたと思うので。だから大変だったけど、今はあの時間があってよかったと思います。

あたたかくて
加湿もしてくれる

　室内を暖めていたのは、トヨトミ公式オンラインストア限定モデルのRL-25Mのホワイト。ヘリンボーン柄の床に絶妙に調和して、店舗のイメージそのままに上質な空間と可愛らしい印象を作り出している。

ｰトヨトミのストーブはいつからお使いいただいているんですか？

大鹿さん：今年（2022年）の冬に入ってからですね。

ｰ印象はいかがでしょうか。

大鹿さん：あたたかいです（笑）。そんなに広いスペースではないんですけど、お店の中で使ったり、お湯を沸かしながら作業場で使ったり。私は乾燥とか結構気にするので、加湿器がなくてもしっかり加湿してくれるっていうところもいいですね。乾燥のストレスがだいぶ軽減されました。あとは電気代がかからないって部分でもだいぶ助かってます。

人々に必要とされる
モノづくりを
続けていきたい

ｰこれからの展望をお聞かせください。

大鹿さん：この店のテーマでもあるんですけど、相談に来てもらったお客様にベストの答えを導ける人になりたいですね。あとはこの岡崎という町でもっと必要とされるお店になっていきたいです。必要がなければお店がある意味もないと思うので、人々に必要とされるようなモノづくりをこれからも続けていきたいと思っています。

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取材を終えて

　「人と話すのが苦手」とおっしゃっていた大鹿さん。ですが、全くそんな素振りを感じることもなく楽しくお話をしていただきました。たぶんシンセリティアという店名が象徴するように「正直」で「誠実」な大鹿さんの人柄が、製品の価値にプラスしてお店の価値を形作っているのではないかと思いました。

　2023年2月11日（土）には名古屋市で開催される「人生とデザイン」をテーマにしたイベントに参加されるそうです。ウェディングドレス、ジュエリー、ヘアメイク、装花、キッチンカーなど異なる様々なお店やクリエイターさんが参加し、カップル、お友達同士、ご家族など様々な方が楽しめるイベントになっているとのこと。ご興味のある方はぜひご参加されてはいかがでしょうか。

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イベント概要

「Re:design Place」
◇開催日：2023年2月11日(土)
◇時間 ：午前10時〜午後4時
◇場所 ：gazebo.（ガゼボ）
愛知県名古屋市中村区大秋町2丁目50（駐車場はお近くのパーキングをご利用くださいませ）
◇入場料：無料

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ご紹介したストーブ

ご紹介した店舗

【SINCERITIER】
住所：〒444-0011 愛知県岡崎市欠町字栗宿3-1(駐車場あり)
営業時間：11:00～17:00
定休日：水曜日・木曜日　※日曜日は完全予約制
(営業時間について詳しくは公式WEBサイト・公式SNSをご確認ください)
公式WEBサイト：https://sinceritier.jp/
Instagram：https://www.instagram.com/sinceritier/

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※本記事に掲載の情報は2023年1月時点のものです。

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photo / oshima
interview&text / gambe

記事内の画像の一部はSINCERITIER様にご提供いただきました。

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