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2024/6/7

企画とデザインで時代に合った最適解を提示する/デザイン事務所 スズキモダン

 良いデザインとはなんだろう。ティッシュペーパーの箱一つとってみても、おしゃれで洗練されたものがあれば、とにかく目立つことを目的とした派手なものもある。つまりデザインには、会社の方針、ユーザーの好み、製品の方向性や時代の流行、様々な要因によって、対象ごとに異なった『最適解』がある。

 スズキモダンは名古屋市にあるデザイン事務所だ。スズキモダンでは、依頼者からのオーダーをそのまま受け取って制作にとりかかるということは基本的にないのだという。まず本当にその手法、デザインでいいのか、商品やサービスについて遡って考え抜く。オーダーの前提にある考えはなんなのか、つくる目的を洗い出して明確化し、クライアントと同じゴールを目指して伴走する状況を作り出す。そして同じテーブルで議論を重ねながら、制作物を生み出していく。

 スズキモダンのデザインに共通して存在するのはたしかなロジックだ。マーケティングの視点から生み出されるデザインには細部にすべて意味がある。だからこそただ綺麗なデザインとは一線を画していて古くならない。常に“modern(現代的)”だ。

言葉とビジュアル
両方できる存在に

「スズキモダンは2013年に生まれたデザイン事務所です。社員は私含めて7名と人数は少ないですが、それぞれ個性的な特徴を持った人に集まってもらっています。僕を含め個々がやれることを増やしながら、現在は会社としても徐々に仕事の幅を広げているところです」

 そう話すのは代表取締役の鈴木さん。鈴木さんは大学卒業後、広告代理店に営業職で入社。2年半在籍の後、グラフィックデザイナーとしてデザイン会社に転職した。営業からデザイナーへ。大きな転機に思えるが、ジョブチェンジの理由はとてもシンプルなものだったのだという。

「僕はクライアントに企画書とデザイン両方を持っていく人になりたかったんです。当時の僕は企画書は書けるけど、絵は描けない。その両方ができたら、お客様にデザインも含めた提案ができる。だからグラフィックデザイナーになりたかったというより、企画も絵もできる人になりたかったんですね」

 その後、独立し、しばらくはフリーランスとして活動。しかしあるとき自分のキャパシティだけで仕事をすることに限界を感じた。それがスズキモダン設立のきっかけになった。

「もともとはクリエイティブな世界で楽しい仕事をしようと思って独立しました。でも実際には業務に忙殺されて、理想とは相反する状況になってしまったんですね。だから会社を作ろうと。会社を作れば、自分だけではできなかった領域の仕事ができるようになります。それぞれが自己成長して領域を広げていけば、今よりももっと大きな仕事ができると思ったんですね」

 そして生まれたのがスズキモダン。鈴木さんの企画とデザインへの姿勢は在籍する社員に対して求めていることでもあり、それが会社としての強みにもなっている。

「うちではほとんどの案件をお客様と直接取引でやっています。それは企画とデザインの両方ができる会社じゃないとやれないんですね。デザインだけを請け負うというのであれば、広告代理店の下請けのデザイン事務所になってしまう。だから僕は社員のみんなにも言葉とビジュアル、両方できる存在になってほしいと思っています。そういう意味では結構高いレベルを求めていると思いますね」

 販促の在り方も時代と共に大きく変わってきたと鈴木さんは言う。

「以前はお客様から『こういうの作れる?』と問われたことに対して、できるか、できないかを回答するのがデザイン会社という存在でした。今はデザイン会社からお客様へ『どういう未来を描いてそれを作りたいのか?』ということを問いかけるようになった。お客様と視座を揃えるというのが今の販促では大切だと思っています。そうすることで最後まで同じ感覚でゴールを目指すことができる」

作った人はデザインを言葉で
説明できないといけない

 『販促ノウハウブック』は、スズキモダンが自社制作した全40ページの資料で、販促に関する基本的な知識や専門用語などの説明が丁寧にまとめられている。コーポレートサイトから無料でダウンロードできるようになっており、筆者がスズキモダンを知ったきっかけもこの資料からだった。発信の狙いはどういったものだったのだろう。

「これはマーケティング的な要素が大きいんですが、スズキモダンが綺麗なデザインだけをやっている会社ではなくロジカルなデザイン会社であるということを見せたかったんですね。先日、第二弾として飲食店向けの販促応援ブックも新たにリリースしました。どちらも広い意味でスズキモダンを知ってもらうために作成したものです」

販促ノウハウブックのダウンロードはこちらから
https://dl.s-modern.com/

 スズキモダンでは、販促、デザイン、マーケティングなど様々な分野についてわかりやすく説明したコラムを自社サイトで発信している。メインの目的は会社を知ってもらうことだが、もう一つ目的があるのだという。

「ロジカルなデザイン会社を目指していく上で、僕はデザインを言葉で説明できないといけないと思っています。なんでここにテキストやオブジェクトを配置したのか、『なんとなく』ではなくて全て説明できるようにしていきたい。なので、販促やデザインに対する自分の考えをまとめてもらうという目的もあって、コラムは社員に持ち回りで書いてもらっています」

過度な主張をせずに
暖かさを届けてくれる

 2023年に新発売した最大34畳を暖める大型ストーブ『POWER HEAT』。その高い火力と落ち着きのあるブラックカラーで人気のストーブだ。スズキモダンのオフィスでは、この冬から使用していただいている。その印象について聞いてみた。

「すごく気に入っていますよ。いい意味で主張が少ないところがいいです。色やデザイン、丸みとか背の高さもちょうどいい」

 最近はラベルレスの飲料など、消費者目線の商品が増えてきている。そういったプロダクトと同じように消費者目線への意識がこのストーブからは感じられると鈴木さんは言う。

「このプロダクトにおいて最も重要なのは『暖かさを提供すること』。だから過度な主張をせずに暖かさという機能を届けているのがすごく素敵だと思いますね。『自分が自分が』という性格のものだとここのオフィスには華美すぎて合わない。だからこのストーブはすごく誠実ないい子だなと思っています」

 鈴木さんは仕事の中でのある面白い出会いについても話してくれた。

「仕事の都合で小笠原諸島に行ったときにたまたま映画監督の豊田利晃さん(※)にお会いしたんです。ちょうど豊田さんが小笠原でドキュメンタリー映画を撮影していた頃だったんですね。自分の青春時代に一番好きだった映画が豊田さんが初めて監督をした『ポルノスター』という作品。だから自分にとってのスーパースターに出会ったという感じでした」

 その縁がきっかけで親交を深めて、現在でも交流があるのだという。鈴木さんにとって豊田監督はどんな存在なのだろう。

「常に映画監督という枠に捉われずに新しいものを生み出している人だと思います。映画をつくっているというよりは表現をつくっている人。そこは広告にも通じる部分があると思うんです。既存の枠に収まることなく常にクリエイションして戦っている。次に会うときに自分がもっと成長していたいと思わせてくれる人ですね」

※監督作品に『青い春』、『ナイン・ソウルズ』など。現代日本映画を代表する映画監督。

デジタル領域でも
成長していきたい

 スズキモダンを設立してから、これまで大変なことはあったのだろうか。

「それがないんですよね。不思議なんですけど、今のスズキモダンの環境って、昔自分が会社を辞めてデザイン会社に転職したときに思い描いていた姿のままなんですね。これまでほんとに順調に来ていて。目の前の仕事をきちんとやることで信頼を得て、また次の仕事が来るっていう循環でこれまでやってこれた。だから大変なのはこれからかなと思います。僕自身がデザイナーから経営者として脱皮していかないといけない。これまでは同じ席に座ってみんなで理想を追いかけていたけど、これからは組織づくりをもっと意識していかないと、と思っています」

 最後に今後の目標について聞いてみた。

「引き続き同じことをやっていくと思います。広告をつくる楽しさって様々な異なる条件下でシチュエーションごとの最適解を探し出すことにあると思っているんですね。予算とか目的とかいろんなことを乗り越えて課題を解決していく。そこは変わらずやっていくと思います。あとはデジタル領域の部分でも期待に応えられるようにもっと成長していきたいですね」


ご紹介した会社

【株式会社スズキモダン】
住所:〒461-0011 愛知県名古屋市東区白壁2-1-30 4F
営業時間:平日:9:00~18:00
電話番号:052-253-5534
公式WEBサイト:https://s-modern.com/
公式instagram:https://www.instagram.com/suzuki_modern/


ご紹介したストーブ

POWER HEAT 『PH-10』
ブラックカラーが特徴の大型石油ストーブ。
https://www.toyotomi.jp/toyotomeets/product/42878


※本記事に掲載の情報は2024年6月時点のものです。


photo / oshima・kato
interview & text / gambe


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